【本の要点】
- アドラー流『教育』とは何か?
それは「自立」を「援助」することである。
そのための一歩として、生徒を『尊敬』することから始めよう。
生徒を尊敬すればそれが生徒にも伝染して、生徒もまた『尊敬』を覚える。
そこに「叱る」「褒める」は必要ない。 - なぜアドラーは「叱る」行為を推奨しないのか。
「叱る」行為は、その場は収まるが、再発する。
それでは生徒は一生「未成年」のまま。(ここでの「未成年」とは、他者に言われないと自分の理性を使う決定、勇気が持てないこと)
他者からの支持を仰いでいた方がラクなのです。 - なぜアドラーは「褒める」行為を推奨しないのか。
大前提として「褒める」行為は、能力がある人が、ない人にする行為。
また、「褒められることを目的とする人」が集まるとそこに「競争」が生まれる。
競争行為はアドラーは推奨しない。ただしライバルは認めており、競争するのではなく協力することを求めている。
競争原理……縦の関係
協力原理……横の関係 - 生徒たちとは「仕事の関係」ではなく「交友の関係」で接しよう。
学校とは「交友の関係」を学び、共同体感覚を学ぶ場。
著者について
刺さった箇所7選
会社での対人関係でも、恋人との関係でも、あるいは国際関係においても、われわれはもっと「他者の関心事」に関心を寄せる必要があります。
「他者の目を見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること」
これは大事な考え方だと思います。自分の「関心事」について、相手に関心を寄せてもらうことって悪い気がしないですよね。
それだけで第一印象が変わります。
私は自分が興味ないことはシャットダウンするので、直さないとですね。
カントの言葉を紹介しましょう。彼は自立について、こんなふうに語っています。「人間が未成年の状態にあるのは、理性が欠けているのではない。他者の指示を仰がないと自分の理性を使う決意も勇気も持てないからなのだ。つまり人間は自らの責任において未成年の状態にとどまっていることになる」。
「自分の理性を使う勇気を持て」
一般的に使われる「未成年」とは意味が違います。
また「理性」も私たちが想像するのとは違って「知性から完成まで含めた『能力』」のこと。
自ら決断して一歩踏みだす。これは勇気が要ります。でも他人から指示を受けて動くのはラクですよね。自ら考えなくてもいいし、責任も転嫁できるし。
「わたし」の価値を、他者に決めてもらうこと。それは依存です。一方、「わたし」の価値を、自ら決定すること。これを「自立」と呼びます。
「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置く
依存すると承認欲求に囚われた人生を過ごすことになります。これは望むことではありませんよね。
「特別なわたし」になる必要はありません。
「わたしであること」に価値を置く。それは人と比べて劣ることがあるかもしれませんが、個性なのです。
今の自分を受け入れよう。
人間はひとりで生きていけないのです。孤独に耐えられないとか、話し相手がほしいとかいう以前に、生存のレベルで生きていけない。そして他者と「分業」するためには、その人のことを信じなければならない。疑っている相手とは、協力することができない。
アドラーにとっての「仕事のタスク」とは、単なる労働のタスクではありません。他者とのつながりを前提とした「分業のタスク」だったのです。
人は弱い生き物で、大昔から分業をして今まで繁栄してきました。
分業とは適材適所。ひとりでやれることには限界があります。
優れた経営者ほど人の使い方がうまいですよね。これは「分業のタスク」ができているからではないでしょうか。
私これすごく苦手で、人に任せて自分が思ったような形にならなかったときすごくストレスに感じちゃうんです。
自分を愛することができなければ、他者を愛することもできない。自分を信じることができなければ、他者を信じることもできない。
自己中心的な人は、「自分のことが好き」だから、自分ばかり見ているのではありません。実相はまったく逆で、ありのままの自分を受け入れることができず、絶え間なき不安にさらされているからこそ、自分にしか関心が向かないのです。
まずは「ありのままの自分」を愛することから始めよう。
私は自分が好きではありません。「あの人は〇〇で羨ましい」なんてよく思います。
でもそれは「特別な存在」になろうとしているのです。それは他者に依存する考え方で、永遠に他者に囚われてしまいます。
ありのままの自分を好きになろう!
人間は、変わることができます。そのライフスタイルを、世界観や人生観を、変えることができます。そして愛は、「わたし」だった人生の主語を、「わたしたち」に変えます。われわれは愛によって「わたし」から解放され、自立を果たし、ほんとうの意味で世界を受け入れるのです。
自立とは、「自己中心性からの脱却」
わたしはまだ「わたし」が主語のライフスタイルのままだと感じています。
愛を持って「自立」する
いつか別れる日がやってきたとき、「この人と出会い、この人とともに過ごした時間は、間違いじゃなかった」と納得できるよう、普段の努力を傾けるのです。
「いま、ここを真剣に生きる」とは、そういう意味です。
人は必ず他者と関わります。全ての問題は対人関係に帰結します。
歳を取れば両親との別れもやってきます。学校なら、卒業の時がやってきます。そんな時「最良の別れ」ができるようにする。それが一番大事。
3行ノート
この本を読んだ方に併せてオススメしたい本
◎「嫌われる勇気」岸見一郎、古賀史健
人は変われます。のみならず、幸福になることもできます。
ひとりの例外もなく、今この瞬間から。
「幸せになる勇気」と同じく対話方式で書かれています。
併せて読むと、よりアドラー流が理解できます。
「幸せになる勇気」では、「嫌われる勇気」の内容も出てきますが、簡易的に細く説明されているので、読まなくても理解はできます。
◎「心配事の9割は起こらない」枡野俊明
さあ、心配事の”先取り”などせず、「いま」「ここ」だけに集中しましょう。
ポイントは、減らす、手放す、忘れるー。
そうすることで、もっとラクに、のびのびと、前向きに生きている自分に出会うことができるでしょう。
著者は禅僧の方。
1日の濃度が濃くなっている昨今、シンプルに生きる大切さを教えてくれます。
過去・未来ではなく「いま」を大切にするのです。