私は本を週に1冊は読んでいます。今回紹介する本は「読書という行為」に関する本。
中身は非常に熱いというか男臭いというか…うまく言葉で言い表せません。
出版会社「幻冬舎」の代表取締役社長である見城徹さんの本。
以前「たった一人の熱狂」を読んで書評を書かせていただきましたが、そちらもとにかく濃い!ひたすらに濃い!
本書を通じて、私は今までの読書行為がいかに幼稚なものだったか思い知らされました。
読書に命を賭けんばかりの圧を本書から感じました。
内容は少し難しめ。でも一度は読んで欲しい。
「たった一人の熱狂」の方がまだ読みやすいです。読書初心者はまずそちらから読むのがおすすめ!
血を流しながら本を読んでいたかのような、そんな感覚になるほど狂気を感じた本でした。
本書の魅力を伝え切れるほどの語彙力が私にはありません…。
ぜひ実際に読んで感じて欲しい!
本の紹介
今回紹介する本は
『読書という荒野』見城徹著
になります。
著者について
YouTubeで対話動画などが挙がっているので一度見てみて欲しいです。
オーラが違いますよw
印象的な箇所17選
『僕はつつましいながらも何不自由ない人生を送っている。自分さえよければいいという生き方をしている。これでいいわけがない。この世界に存在する矛盾や不正や差別を、全部正していかなければいけない、と当時強く思った。』
見城さんは学生の頃から読書にハマっていました。
当時傾倒した著者の一人が「高橋和巳」。
その作品から、自分の理念を全うする困難さを学んだとのこと。
自身の理想が現在の国家思想と異なっていれば、苦しき道を進むこととなります。
読書を通じて「理想の社会像」を純化していきました。
するとその分、現実の矛盾や不正、差別が目についてしょうがなくなったらしい。
『正しいと思うことを言えなくなったら終わり』
読書を通じて左翼的になっていった見城さんは、学校生活においても矛盾不正差別を見逃せなくなりました。
先生に反発することもあったらしい。
その際には、ただ反発するだけではダメ。相手の攻撃手段を潰すことが大事。
見城さんは、勉学スポートを文句なしにした上で反発していました。
『戦いとは常に孤独であるということ。誰にも理解されないことが前提だということだ。それを飲み込み、絶望した上で、戦いを完徹しなければならない。』
見城さんが「吉本隆明」の『転位のための十篇』から学んだこと。
世の中には収奪する者と収奪される者がいます。
吉本氏は、収奪される者の味方になって、ときには暴力も使いながら運動に身を投じました。
でも吉本氏の行為は収奪される者からも理解されませんでした。
孤独の中戦い抜いたのです。
見城さんは、大きな勝負に出る時や、不可能と思われる挑戦をする前にこれを読み返すらしい。
チャレンジャーは理解されない。前例のないことに挑戦するのだから。
『僕はいつも、「売れるコンテンツの条件は、オリジナリティーがあること、極端であること、明解であること、癒着があること」と言っている。』
見城さんが手がけた『公文式算数の秘密』のエピソード。
この本は売れる条件が揃っていました。
オリジナリティーがあるということは極端であり、極端であるということは明解であるということ。
公文式という独自のノウハウ本でオリジナリティーがありました。
また公文式には数万人の会員がいるため、ある程度の購入数が見込めるというわけ。
ほぼ勝ち確の条件が揃っていたということです。
『僕は人と会うときは、常に刺激的で新しい発見ある話、相手が思わず引き込まれるような話をしなければいけないと思っている。』
見城さんが作者と一緒に作品を作り上げるときに意識していること。
作者が魅力的なだけではダメ。一緒に仕事する編集者も魅力的でないといけません。
作者の胸を打つ言葉をいかに発せられるか、相手に「こいつ面白いな、また会いたいな」と思わせられるかが勝負。
見城さんは出版社の新入社員時代からそれを意識できていました。
それは「革命運動からの逃避」と膨大な読書体験からもたらされました。
雑談が苦手なので、どんどん引き出しを増やして、深い話ができるようになりたい!
『努力は圧倒的になって初めて意味がある』
見城さんが角川書店に入りたいとき、当時の社長「角川春樹」さんに直訴した際にとんでもない企画のアルバイトならいいと言われ、圧倒的努力でやり抜いたエピソード。
24時間働いて、血尿が出たりもしたらしい。
見城さんのいう圧倒的努力の定義は「人が寝ているときに眠らないこと。人が休んでいるときに休まないこと。どこから始めていいかわからない、手がつけられないくらい膨大な仕事を一つひとつ片付けて全部やり切ること」。
併せて水上颯さんの本に出てきた「努力するベクトルを考える」ことも紹介したい。
努力をしても、それが見当違いだったり時代遅れだったらそれは努力ではありません。
努力することをしっかり考えた上で圧倒的努力をしよう!
『こういった僕の生き方に、読書はやはり決定的な影響を与えている。本当は単なる情報の羅列ではない。自分の弱さを思い知らされ、同時に自分を鼓舞する、現実を戦うための武器なのだ。』
見城さんの仁義を貫くような生き方、熱狂的な生き方は学生時代からの読書体験からきています。
本に書かれている戦いに比べたら、ビジネスやトレーニングなんてぬるいもんだと感じるらしい。
『少年は希望でいい。子は夢でいい。王子は理想でいい。しかし「少年」が「男」になるときは、いろいろなものでズタズタに傷つきながらも立たなければならない。親も夢や理想だけを追っていたら、生活できない。子を守れない。』
石原慎太郎さんとのエピソード。
本を書いてもらう際、見城さんはどの書き手にも3枚のキラーカードを持っていくようにしていたとのこと。
キラーカードとは、「この人がこの内容の本を書けば間違いなく売れる」もの。
見城さんは石原氏に持っていったキラーカードは「弟」「政治」「老い」。
その中の「政治」のパートで書かれていた一文です。
石原氏は文学から政治の世界へ入った方。
これを「少年」が「男」になった、「子」が「親」になった、「王子」が「王」になったと表現しました。
これはどういうことか、理想・夢よりも現実を認識するようになるということです。
『表現とは結局自己救済なのだから、自己救済の必要がない中途半端に生きている人の元には優れた表現は生まれない。ミドルは何も生み出さない。想像力は、圧倒的に持つ者と、圧倒的に持たざる者のなかにこそ生まれるのである。』
文学を描く上でエネルギーになるのが「差別」です。
差別を経験した者、また真逆の豊かすぎる者からは溢れ出るパワーがあります。
極端だからこそ、表現する、いや表現しなければいられなくなるのです。
私の過去を振り返ってみると、いかにミドルに、中途半端に生きていたか…
『1回はどうしようもない自分の暗黒を通らなければ、人は善く生きることなどできないはずだ。尾崎豊が問いかけたものは、「お前は楽をして生きているのではないか?」という永遠の問いなのだ。』
尾崎豊さんは日本を代表するシンガーソングライター。
見城さんは尾崎氏とも関わりがあり、曰く、尾崎氏は負の感情の塊だったとのこと。
極端ですよね。
こうした人生を歩み、短い生涯を終えた尾崎氏は「お前は楽をして生きているのではないか?」と我々に問いかけました。
才能ある表現者は「表現しないと生きていられない」境地にいるのです。
これはもう才能であり学べることではありません。
『旅とは「貨幣と言語が通用しない場所に行くこと」だ』
見城さんは中学時代、旅に関する本に熱中していました。
「沢木耕太郎」「小田実」などの本を読んでいました。
見城さん自身もヒッチハイクで伊豆諸島を一周する旅に出た経験があります。
編集者になってからも、作者と取材旅によく行きました。
見城さんは才能に惚れた作家さんとはものすごい親密な時間を過ごすのです。
そうして素晴らしい作品が作り出されます。
『テクノロジーが発達した現代でも、本というローテクなものの価値は失われていない。一心不乱に本を読み、自分の情念に耳を澄ます時期は、必ず自分の財産になる。だから、手軽に情報が取れるようになっただけになおさら、意識して読書の時間を捻出すべきだと僕は考えている。』
見城さんは読書体験を通じて数々の困難を乗り越えてきました。
例えば、幻冬舎立ち上げの際も「シンプルな情熱(アニー・エルノ)」を読んでやり切ったとのこと。
現代ではスマホで簡単になんでも調べられますけど、困難を乗り越えるための方法はなかなか出てきません。
私も悩みがあるとき、関連する書籍を探して買ったりします。ボールペンで書き込んだり、折り目を作ったりして読み込むのです。
『現実の我々は、死に向かって一方通行に進んでいる。明確な期限が定められているからこそ、限られた時間の生産性を高める必要が生じ、貨幣や法律といった社会システムができた。同時に、死の恐怖はさまざまな作品や思想をもたらした。』
もし人間が死ななかったとしましょう。
すると、我々が抱えるほとんどの悩みは解決できるでしょう。
ただしそれと引き換えに、何かを成し遂げようとするモチベーション、全力で今を生きることなどがなくなります。
限られた生を考えられるのが人というもの。死について考えることができるのは人間だけらしい。
人生に限りがあるからこそ頑張れる、「満足した人生だった」と死ぬ間際思えるように毎日全力に生きられるのです。
悔いのないように人生生きようと思います。小さな悩みはこれで吹き飛びそう!
『僕はジッドの言葉を、そのようにして読んでいる。そして現実を動かすエネルギーを得ている。本から何を読み取り、どう動くか。どう自分の生き方に作用させるか。読書は単なる情報収集の手段ではないのだ。』
フランスの小説家「アンドレ・ジッド」の作品『地の糧』に関するエピソード。
見城さんが死について語る際に多用する作品とのこと。
「やりたいことを全てやり切った上で、それでも全部成し遂げられずに絶望し切って死にたい」
本気で生きるとはそういうこと。
『「夢」や「希望」など豚に食われろ』
見城さんは「夢」「希望」「理想」などを熱く語る人間を嫌っています。
そんな言葉並べたところで結果一つも出ません。
そんな語る前に「地獄」の中を悪戦苦闘して結果を出せ。
『読書によって他者への想像力や生きるための教養を磨き、まずは認識者になる。つまり世の中の事象と原理を理解する。いったん実践者になれば、暗闇の中でジャンプし、圧倒的努力を以て、目の中の現実を生き切るのみだ。』
1987年にフランスで公開された映画「ベルリン・天使の詩」のエピソード。
天使を「認識者」、人間を「実践者」と表現。
天使は実践者を見守ります。永遠の生を保証され、傷ついたり悩んだり苦しんだりすることはありません。
認識者から実践者になって真に成熟してその人生を歩むのです。
認識者になるには読書体験を重ねることが大切。
読書を通じて認識者となり、実践者となって自己実現の荒野へ行こう!
『もともとは歌謡集の言葉であっても、自分のうちで肉体化し、自分の言葉として獲得することは可能だ。必ずしも頭の中だけからひねり出さなくてもいい。読書を通じて数々の言葉に出会い、そこから人生の指針となる言葉をすくい上げ、肉体化し、実践していけば、言葉を自分のものとして獲得できるのだ。』
私が読書をする目的の一つです。
読書を通じて学んだことを自らの体に取り込み、実践する。
インプットとアウトプットの話。
歌謡集だけの話ではない。本全体に言えること。
本書から学んだ3つのこと(3行ノート)
この本を読んだ方に併せてお勧めしたい本
◎『たった一人の熱狂』見城徹著
『熱狂』がキーワードとなる本。自己啓発書としてマジでおすすめ。
◎『頭を鍛える5つの習慣』水上颯著
文中で少し紹介した本。
「勉強」「読書」「記憶」「時間」「アウトプット」で水上氏がオススメする習慣が書かれています。