『死ぬこと以外かすり傷』
幻冬舎の編集者箕輪厚介さんが2018年に書き上げた本。
箕輪さんは本業である編集業のみならず、ラーメン店オーナー、演歌歌手などマルチに活躍していました。
テレビ番組のレギュラーを務めたり、講演したり、オンラインサロンを作ったり一誠を風靡しました。
そんな中2020年、文春が箕輪さんのセクハラ事件を取り上げます。
ここから箕輪さんの人生は大きく変わります。
本書では死ぬこと以外かすり傷の内容を振り返った本。
死ぬこと以外かすり傷の内容も網羅されています。
本の紹介
今回紹介する本は
『かすり傷も痛かった』箕輪厚介著
になります。
著者について
編集者の枠にとらわれず、多岐に渡り活躍しています。
YouTubeやSNSでも積極的にコンテンツを提供しています。
編集者として数多の著名人と仕事を共にして影響を受けた方。
印象的な箇所17選
『僕は面白いコンテンツを生み出したかったら安全安心な場所を持ってはいけないと半ば脅迫概念のように思っていた。しかし人に見せないだけで戦う人はみな安全安心な場所を持っていたのだ。』
箕輪さんは安全安心を捨ててひたすら熱狂していました。
しかし見城さん家族と年末にハワイに行った時のこと。普段仕事で見せない優しい姿、安全安心の中で休む帝王の姿を見ました。
常に戦場に身を置いて熱狂している見城さんの意外すぎるその姿。
安全安心な場所があるから賭けに出られる、もしやらかしてもこの場所に帰ってこられる。
『欲望に衝き動かされるまま生きていると、次第にカルマが溜まっていく。その人間の器ギリギリまでカルマが溜まると、器が決壊して”カルマ解消”が起きるそうだ。』
いち早く突き抜けるには「言いたいことは言ってしまえ」と、死ぬこと以外かすり傷で語っていました。
周りの同調圧力に飲まれると戻ってこれなくなります。
かといって、飲まれずに我を出していると「カルマ」が溜まっていきます。
「カルマ=業」であり、自身の器に溜まっていき、溜まりすぎると決壊します。
これをカルマ解消と呼びました。
欲に衝き動かされる生き方をしているとカルマが溜まります。
「言ってはいけないこと」は言ってはいけません。
『株も人生も利確するのは難しい。』
自分自身に値札を貼って、その価値を上げていく。
副業や転職が当たり前になった時代、自分の価値を理解してそれを上げるのは大事。
ただし上げ続けるとどこかで落ちます。
ある程度価値が上がったところで利確すれば勝ち逃げできます。
ただしそれが難しいとのこと。
箕輪さんはひたすら上げ続けていて、文春で一気に下がってしまいました。
私は全くその領域に達していませんが、なるほどと思いました。
『意識が高いと嫌われる。』
かつて「意識高い系」がブームでした。
箕輪さんも意識高い系のひとり。ただし、自身が意識高い系ではなく、進んだルートがそれに近かっただけとのこと。
意識高い系はなんでも競争化させようとします。
それが刺さる人がいれば嫌う人もいます。
嫌う人というのは、「儲ける」目的でない業界の人間。
その人たちにとっては自分らの畑を荒らされる気分。良くは思わないでしょう。
競争は発展に繋がるけど、その一方で大量の敗者が生まれます。
『「あえてのアウェイ」で苦しむことによって編集者という本職に帰ってきた時に、そのありがたみを実感できる。当たり前の仕事が光って見える。』
「今幸せですか?」と聞かれた時どう答えますか?
「幸せじゃない」と答える人が多いのではないでしょうか。
逆に他人には、別に幸せでないのに「幸せそうだなー」と思われるもんです。
幸福度は、他人との比較に大きく影響します。(箕輪さんは「幸福相対性理論」と言いました)
それを利用して、箕輪さんはたまに「あえてのアウェイ」に身を置きます。
圧倒的位心地が悪い空間に身を置くことで、いつもの空間がいかに幸せなのかを再認識できるとのこと。
私やった方がいいかも。
『今、僕がもらっているお金は僕の作り上げられたイメージではなく、本当の人間性や編集力そのものに払われている。だから週刊誌に何を書かれても一瞬でなくなるような仕事はない。』
箕輪さんは、積み上げてきた自身のブランド力が文春砲で壊されました。
箕輪さんのイメージが一気に崩れ落ちました。
しかし編集力などの実力面は変わりませんよね。
ブランドが落ちてからが勝負。
ブランド力が落ちてから仕事を依頼してくれる人は実力を見込んでくれる人。
『よくよく振り返ってみると、人が時代を作っているのではなく、時代が人を作っているように見えるのだ。』
箕輪さんは編集者としては異色で、自らSNSで顔を広げて、自身がインフルエンサーとして販促活動をしています。
箕輪さんは自ら時代を作っていると、かつては感じていました。
しかし実は時代が人を作っているんだと箕輪さんは振り返っています。
各時代の創成期に一番に手を挙げてやり抜いた者がその時代を担うリーダー的存在になりました。
勘違いしてはいけない。
『99%の風呂敷は畳まれない。』
箕輪さんは風呂敷を広げろと言ってきました。
風呂敷を広げる人とは、できるかわからないけど提案して人を巻き込んで舵取りをする人。
風呂敷を広げたら畳む。畳むのは引き込まれた人たち。
広げる人と畳む人。それぞれ得意不得意があります。
しかし箕輪さんは振り返り、風呂敷を広げるには自分が夢中になれる分野で圧倒的努力をして自力を積んでからだと気づきました。
かつて意識高い系は、自力を上げるより先に風呂敷を広げまくりました。
すると畳む人が集まらず、広がったままの風呂敷が点在するというわけです。
『「やらないで後悔するより、やって後悔した方がいい」というような言葉で何度も本で読んできた。実際そうなのかもしれないが、やらなかった後悔、やれなかった切なさも愛おしい。』
やりたいことがあるならショートカットしてすぐにやれ。
かつて箕輪さんが死ぬこと以外かすり傷で語っていました。堀江貴文さんも自身の書籍で似たようなことを語っていました。
ただし人生で考えるとまた別の考え方があって、やりたいことをすぐにやってしまうと味わいがなくなるとのこと。
何かやりたいことがあって、それに向かって頑張って実現できたとしましょう。
達成感は得られます。が、思ったより大したことなかった、みたいな感じ。
『「本物」が今まで以上に価値を持つ。ChatGPTが無限にコピーを生成する時代に、何かの焼き直しのようなものを人間が作る意味はない。』
物が溢れるこの時代。本にしたって、似通った本も珍しくありません。
さらにChatGPTがやってきて、似た文章が量産できてしまう時代になりつつあります。
何かに突出していたり、人間味のある文章で勝負するべき。
ブロガーとして考えさせられます。
もっとユニークさというか、自分らしさを出した方がいいのかな。
『人生の楽しみを「生産」だけでは埋められなくなる時に、プロセス自体を楽しめる「表現」を持っていられるかが大切だ。』
箕輪さんはなんでも「やります」と言って、生産し続けてきました。
熱狂して数々の名作を送り出してきました。
しかし文春砲でその熱狂は一時終わりを告げます。
すると、生産的でなくてもプロセスを楽しむ「表現」もいいもんだと感じたとのこと。
釣りでもそう。
私去年アジングをやっていましたが、あれってぶっちゃけサビキ釣りの方が絶対良く釣れるんですよねw
でもアジングの方が楽しいからやるんです。
『僕は誰かにハンドルを握られ、「時代を前に進める車輪」にはなりたくない。進むべき方向は自分で決める。』
世界は今目まぐるしく回っています。
それに順応するには自らも常にアップデートし続ける必要があります。
歳を重ねるとそれができなくなってきます。
最新と思っていたシステムが若者的にはすでに一昔前のもの。
箕輪さんはそう感じた時、実はかつての我々も今の若者も時代に振り回されているのでは?と考えました。
最新で流行っていることには発起人がいます。その人物に踊らされているというわけ。
『僕は「怪獣人間」たちの生き方や考え方を誰よりも理解し想像できる一方で、目の前にずっとあった生活者のリアルを何も知らなかった。』
箕輪さんは人間をブンセキするのが趣味でした。
それを活かして、難攻不落の明著者から仕事を引っ張ってこれたし、深い人間関係を築いてこられたのです。
ある日、箕輪さんの妻がひとりで旅行に行って、子どもふたりを任されることになりました。
ブンセキに自信のあった箕輪さん。帰ってきて会っている子どもの世話なんて簡単だろうと思っていました。
しかし子供は未知の行動をして全く読めず、自慢の分析力は役に立たなかったそうです。
目の前に未知の世界が広がっていました。
『僕はここからさらに進み「意味がある」から「意味すらない」へのパラダイムシフトが今後起きると予想している。』
世には物が溢れて、「役に立つ」ものはレッドオーシャンの域に達しています。
そこで「意味がある」にシフトするとその競争から逃れられます。
そこからさらに一歩進むとのことです。
『AIが加速度的に進化を繰り返す世の中にあって、これからはより一層、人間の熱狂による低率で非生産的なエネルギーみたいなものが貴重になる。』
人間味溢れるものなんかが貴重になってきます。
例えば健康の観点からいうと、効率を考えるならラーメンなんか食べない方がいいですよね。
でも食べてしまう。これでいいんです。
『しかし、そこにあるのは幸せな状態ではなく、瞬間的な達成。すぐに次の達成まで走り始めないと興奮は終わってしまう。』
好きなことを仕事にする。これはすごくいいこと。しかしどうしても数字が伴わなければ回りません。
しかし「幸せ」の観点で見てみると話は変わってきます。
年収と幸福度は比例しないとのこと。(ホントかよって思いますが)
箕輪さんは常に部数を意識して本を作り続けてきました。
街に繰り出してみると、朝から飲んでいるおっさんいますよね。彼らは数字だのなんだの考えていません。でも幸せなんだ。
『生き方に賛同しろと言っているのではない。何かが狂ってしまった人間に触れることで、自分の思い込みが破壊され、その切れ間に一瞬本当の自分が見える。僕はそれを見せたい。』
箕輪さんはたくさんの狂った人、常識とかけ離れた人と仕事をしてきました。
常識を破壊して新しい世界を発送して実現する生き方が好きらしいです。
一見常識的に見える人でも、一歩覗いてみると実はおかしかったりするものです。
「怪獣人間」はそれが極端なだけ。
本でもなんでもいいのでそういう人間に触れてみると、自分のバイアスが破壊されて別の観点で物事が見えてきます。
本書から学んだ3つのこと(3行ノート)